パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

乙嫁語り 8

19世紀中央アジアを舞台に描かれる、非モテ女子の婚活物語。
「婚活」というこのうえなくタイムリーなネタと、本格歴史ファンタジーの組み合わせがとにかく新鮮!主人公となるキャラクターが変わるたびにがらっと作風を変えてしまうところがこの漫画のおもしろさだな〜。
とにかく緻密に写実的に描き込まれた作画にも関わらず、生真面目に固まることなく、少女漫画から萌えカルチャーまで貪欲に柔軟に取り入れる作風はじつにのびやか。異なる時代の異なる国を描くにあたって、相当資料も読み込んでいるだろうに、史実にとらわれない柔軟さにおそれいる。
7巻の百合姉妹もすばらしかったけど、パリヤさんのツンデレっぷりもまたたまらない。他人と自分を比べてはうまくやれない自分に打ちひしがれ、妄想で先走っては現実の壁にぶちあたってもんどりうつ。この非モテっぷり、到底他人事と思えない。コミュ障の先駆者みたいな人だな…!
パリヤさんが思っているよりずっと、婚約者のウマルくんはパリヤさんのこと憎からず思っているんじゃないかな?と思うけど…パリヤさんの空回りっぷりがかわいいので、もうしばらく勘違いしていてほしい。

抱かれたい男1位に脅されています。1-2

なんとなく自分の好みではないかな、とスルーしてたんだけど、あまりの人気になんぼのものよと手に取ってしまった。
なにがあっても高人だけを見ているし、高人しか見えてない准太は、一見ワンコな天使攻めだけど、ひと皮剥けば狼な執着攻め。ふだんは年上の意地もあって素直になれないけど、ほんとうは泣いちゃうくらいに准太が好きな高人の絵にかいたようなツンデレっぷりもかわいい。
なるほど、この容赦なしの溺愛っぷりはちょっと崎谷はるひを思わせるな。
たまに無性にあまいものが食べたくなるように、イケメンと愛さえあればなんでもOKなBLファンタジーを読みたくなるときが腐女子にはある…。そんなときにもってこいな一冊。