パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

雑誌1冊

小説 Dear+ (ディアプラス) 2010年 08月号 [雑誌]

小説 Dear+ (ディアプラス) 2010年 08月号 [雑誌]

「雪よ林檎の香のごとく」スピンオフのために小説Dear+を購入。なんだかんだで雑誌買ってるなあ。次号も巻頭カラー砂原糖子のために買ってしまいそう。
「雪よ〜」のときから思っているのだけど、一穂ミチさんの物語はよしもとばななと通じるものを感じる。「似ている」という言葉はあまりに語弊があるので、できる限りつかいたくないのだけど、「meet, again」を読んであらためて思った。
あらゆるものには存在する意味があり、その価値を他者が量ることはできない。一穂さんも、よしもとさんも、感情を俯瞰できるひとなのだろう。
「N・P」や「アムリタ」といった作品とモチーフが重なるのもそうだけど、それ以上に、物語のたたずまいというか、世界の捉え方みたいなものが通底している気がする。独特の乾いた淋しさみたいなもの。人と人の間にある、埋めがたい距離。その絶望を知ってなお、孤独を引き受けて生きていく、しなやかな意志。
ああ、うまくいえない。
彼女らの目には、世界はどんな風に見えているのだろう、と思う。
私はどうしても、己の善悪や感情論を通してしか世界を認識できない。だから、一穂さんやよしもとさんの物語を読んでいると、世界の鮮やかさに目が覚めるような、心細いような心地になるのだろう。