パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

時が過ぎゆきても

時が過ぎゆきても―デスペラード・シリーズ (クリスタル文庫)

時が過ぎゆきても―デスペラード・シリーズ (クリスタル文庫)

翻訳ミステリーからの薫陶を色濃く残した、作家の初期シリーズ。
刑事をやめて私立探偵を営むクラークと、彼の助手兼恋人のアンソニー。忘れえぬ過去を秘めた二人は、時代に置き去りにされた街で、ときに闇に呑み込まれそうになりながらも懸命にもがいている。
ナンセンスな「厄介な連中」とは対象的にシリアスだが、根っこにあるものはどちらも同じ。
彼らを取りまく状況は厳しいが、不遇は必ずしも不幸ではない。美しくも気高くもないならずものたちにも、かけがえのない人がいて守りたいものがある。人へ注がれるまなざしがあたたかい。