パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

あの日、校舎の階段で

あの日、校舎の階段で (ショコラノベルス)

あの日、校舎の階段で (ショコラノベルス)

遠藤の偏執的で陰湿な情熱に、笠井だけでなく私まで憎しみが湧いてきて、ぎりぎり歯軋りしながら読んだ。こんな気持ちの悪い攻めをかけるなんて、一種の才能だ。
互いに憎しみあっていたり、一方的に蔑まれるような最悪の状態から始まる人間関係を書かせると恐ろしく上手い人の本を読みつけてしまっているせいで、あともうひとひねり…と感じてしまうのも事実。だけど、じゅうぶんに個性的だし、読むものをひきつける昏い情念がある。