パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

まほろば恋奇譚―秘恋編―

剛しいらはとにかく多作で、どこから手をつけていいやら迷ってしまう。
何冊か読んで、どうやら歴史ファンタジーや芸道もの(有名な落語シリーズに限らず、技を研鑽し、なにかひとつの道を究める人の物語。職人とか、芸術家とか、聖職者とか。)と相性がいいと気づく。さらにこの本は「主従もの」。稲荷家先生の絵も麗しく、こりゃいいんじゃないかと意気込んで買ってきた。
もし、日本に武家社会が訪れず、平安時代さながらの公家社会が続いていたら?というパラレルジパング。ぶっとんでいるかに思えるこの設定が、めっぽう面白い。帝位継承者として何不自由ない暮らしを享受していた明仁が、血縁に命を狙われ都を追われたことで、徐々に朝廷の独裁状態に疑問を抱き始める。
「秘恋編」「成愛編」の2冊で完結。「成愛編」も買っておいてよかった〜。