パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

なよびかな恋

なよびかな恋 (アイス文庫)

なよびかな恋 (アイス文庫)

ずっと探してたのやっと見つけた。これはいい!
残酷で非情で臆病で打算的で、いやになるくらい甘い。
「なよびか」という言葉とはうらはらに、彼らの恋はじっとりしていてどろっとしていて、けして美しくなどない。なのに、胸の底に静かに水が湧くような、不思議と澄んだ読後を味わった。みっともなく這いずりながらも、彼らが彼らなりの愛をまっとうしていたからか。
思惑と情念でがんじがらめになりながらも、いざとなるとびっくりするほど腹を括れてしまう糸賀さん(なんとなく「さん」づけで呼びたくなる、この人)の決意に、胸震わされた。
メモ:やまがたさとみさんについて調べること。素敵挿絵だった。