パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

まほろば恋奇譚―成愛編―

幾多の数奇な出会いが交錯し、帝の独裁下にあった「まほろば」に革命がもたらされる。
これにあと民衆たちの描写が書き込まれていれば、大河としてより肉厚になっただろうなあと惜しい気もするけど、それじゃBLとして納まりきらなくなってしまうし(でも剛さんなら枠をはみだした部分もきっとおもしろいだろうなあっ!)。潔く為政者たちに焦点を搾ったのは正しい選択だろう。
明仁と廣世のひたむきな主従愛、旭とギョームの擬似家族的関係、坂元と土方の丁々発止のパートナーシップ。魅力的な関係性が満載なのけど、自由も意志もなく、ただ主の意のままに闇に生き闇に死ぬ間者・雲と霧の、言葉にならない絆がすごくよかった。