パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

同人誌9冊

米屋「先生はダミー」1-3
これはもう、キャラクターの勝利でしょう!!受けの柊は、アンニュイな美貌で二丁目の男たちを食い荒らす、若き売れっ子小説家。攻めの柚木は、唯一の肉親だった祖母を亡くし、単身上京した三十路の田舎者。(野良仕事で鍛えたカラダは脱いだらスゴい。)
天然育ち柚木は自覚がないだけに、男食いの柊を前にしても無防備で罪つくり。海千山千、まさしく「魔性のゲイ」といった雰囲気の柊のほうが、目の前にニンジンをぶら下げられてぐるぐるあわあわしている様はもう、辛抱たまりません!育ちのいいノンケと翳のあるゲイって、組み合わせの妙だけで、私ご飯何杯でもおかわりできる。はやく柊を思うさま喘がせたったらいい…!


蝶々亭「several years later −忘れない日々−」
宇宮有芽さんが「カプチーノ」の前身サークル時代に出した同級生もの。いまとくらべれば文章や構成はずいぶん荒削りだけど、ささいなやり取りの積み重ねで心情の変化を細やかに描き出す作風は変わらない。届きそうだけど触れるのはこわいような、ほどよい緊張を湛えた空気が好き。


カプチーノ「恋愛幸福論」
カフェ「エトワール」が舞台の、中園×さくらシリーズ総集編2。中園×さくらのラブラブもさることながら、総集編1を読んで死ぬほど気になっていた社員カプ・小黒×高梨の馴れ初め&その後が読めて大大満足。
やっぱり大人は、素直になれずに意地張って、傷ついて、なおさら虚勢はってボロボロになったりしなきゃだよね!!夢中になるのが怖くて先回りして関係を破綻させてしまう高梨も、高梨の裏切りを許せない小黒も、自分のスタイルが確立されているだけに、ちっとも譲らなくて手に負えない。わざと嫌われるようなことばっかりしているくせに、ちょっと小黒にやさしくされただけで、たちまち素直になってしまう高梨がかっわいかった〜。


カプチーノ「エマージェンシー・コール」
このサークルさんの同人誌のなかでも人気シリーズと聞いていたけど、ほんとおもしろいわ…!シリーズ3作目だけど、読みきりシリーズなので問題なく読めた。
仕事はできるけど、中身はスケベなおっさんな上谷と、真面目だけど人付き合いが苦手な部下・仁礼の社内恋愛。
とにかくメイン二人のキャラクターが愛すべき。隙あらば仁礼を口説いている上谷は情熱的だけど気取りがなくって、上司としても魅力的だ。無表情の下で慣れぬ恋に一喜一憂している仁礼のかわいさには、上谷ならずともやにさがってしまうというもんです。お仕事描写もリアルで「あるある、こういうこと〜」と苦笑してしまった。


意味深「恋ズドン。」「わたしたちこれからいいところ。」
だ、だめだ、「本日は場外乱闘」読んだはずなのに「こんな脇役いたっけな〜」としか…。奮い立て、わが脳細胞よ!!

地球独楽「雨がやんだら。」
なんの二次創作かもわからないが、表紙がすごく好みで買ってみた。そこはかとなく、おおざっぱ×神経質な雰囲気。わからないなりにおもしろかった。


少年文化「恋人専務」(便利屋さん番外)
専務は相変わらずアホな子なんだけど、しっかり一本筋が通った男前。がんばりやな専務に花丸あげちゃう。


Lightgraph「アース・ブルー」
また小笠原さんが変な話を…。四肢●断がテーマのようだけど、手足の着脱可能なアンドロイド受けという設定なのでグロではない。えらいトリッキーな設定を用意してまで、これを描いた理由はまったく不明だけど、深淵なのか洒落なのかわからない世界観が好き。雪国!アンドロイド!幽閉された科学者!!