パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

椿だより

椿だより (EDGE COMIX)

椿だより (EDGE COMIX)

本文が紺色のインクで印刷されてる!海外のペーパーバックみたいでおしゃれ。
夏の夜のような、冬の早朝のような深い色合いが、物語の澄んだ雰囲気にしっくりくる。
「椿びより」を読んだときは、「もし椿くんが自分の気持ちに気づいたら、このやさしい関係も破綻してしまうんじゃ…」とひとり心配して「つづく」なんて想像できずにいた。でも、椿くんも史生ちゃんも平岩も、私の杞憂などどこ吹く風で、しなやかに変わらない毎日を過ごしていた。
歳を重ねると変わることと同じくらい、変わらないでいることの難しさが身に迫る。
きれいごとだし、夢かもしれないけれど、「夢だっていいじゃない」と思う。変でもおかしくても、こんな家族のかたちがあってもいいじゃないか。
夢のようにあたたかでにぎやかな毎日を、三人がいち日でも長く過ごせますように。遠くから祈るよ。