パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

圧倒的ダーリン

圧倒的ダーリン! (あすかコミックスCL-DX)

圧倒的ダーリン! (あすかコミックスCL-DX)

これぞ、清く正しい男男交際。いや、やることはやっているのだけども。
一生懸命互いの想いを言葉にして、きちんと相互理解を得てから恋人としてのステップを登っているところが好ましい。
「強引な攻めの手で、快楽の海に沈められていく受けは…」みたいなBLドリームももちろん嫌いじゃない…というか好きだけど(好きなんかい!)、いちいち気持ちをすり合わせないと先に進むことのできない、じれったくて面倒くさい恋の話ってやっぱりいいものだ。
誤解したり、すれ違ったりすることはたいした問題じゃない。間違ったと思えば、きちんと「ごめん」とあやまる。うれしいときには、「ありがとう」と微笑みかける。自分の気持ちを素直に伝えること、相手の心に耳を傾けることこそがたいせつなこと。
表現活動をめぐってさまざまな規制がとり沙汰されているが、大和名瀬の漫画を読んでいると問題とされるべきは性行為のあるなしだけじゃあないよなあ、と思う。相手への思いやりや信頼があってはじめて、セックスが暴力ではなく、愛し合うための手段として成り立つということを大和さんは丁寧に真摯に描きつづけている。
コミカルな作風であっても、決してブレることのないその一本筋の通った姿勢が好きだ。