パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

日本橋心中

日本橋心中 (ミリオンコミックス  Hertz Series 88)

日本橋心中 (ミリオンコミックス Hertz Series 88)

歌舞伎小屋の色子、坊主と寺小姓、武家衆道。男色が著しい興隆をみせた江戸初期元禄時代を舞台にした、日の出ハイム的大江戸色恋草子。
心中・怪異・仇討ち等々…題材は悲恋にまつわるものながら湿っぽさは感じさせない。「あっけらかんとおおらかで、情熱的で色っぽくて、悲劇も色情もエンタメ化された」と作家のあとがきで語っているとおり、登場人物たちはみな、思うとおりにならぬ己のさだめを笑って引き受けるだけのしたたかな明るさを持っている。
いつものことながらタイトルがかっこいい。「桔梗屋敷 大振袖決闘」、「兄弟仁義 白浜情死」字面だけでシビれる。