パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

散る花は影に抱かれて

散る花は影に抱かれて (リンクスロマンス)

散る花は影に抱かれて (リンクスロマンス)

夜見の隠れ里で兄弟のように育った忠影と夏月。ともに厳しい忍びの修行に耐え、鍛え上げられた四肢が若木のしなやかさで伸び行くにつれ、二人の絆は肉親への情と留め置くことのできない熱を孕みはじめていた。しかし、かたや一族を束ねる惣領の子、かたや賤しき下忍風情。揺らがぬ身分の差が二人を、触れることもかなわぬ場所へと引き裂いていく。
王道主従下克上もの。兄>義弟だった力関係が成長して、主(義弟)>僕(兄)へと逆転するところが醍醐味。惣領となった夏月に対してあくまでも恭順の態度を貫く忠影に、夏月のほうが焦れて挑発してみせるのもおいしい。
あらゆるすれ違いと姫君危機一髪の果てにようやく想いが通じ合い、ついにくちづけを…というときに、忠影が「唇を、吸うてもよろしいか」とお伺いをたてたところで萌えがMAX!!主のゆるしなしには触れるもままならぬ、このストイックさ。やっぱり主従関係はこうじゃなくちゃ!
六青さんお得意の“受けへの愛の鞭”も盛り込まれた、雰囲気満点の時代劇。