パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

12.7ミリの烈情

2010年中に月夜野亮をひととおり読もう!と思っていたのに、やっと二冊目。
「海馬が耳から駆けてゆく」などで、菅野彰さんの友人としてもおなじみの月夜野さん。
SFやファンタジーなど、菅野さんとはまったく異なるジャンルを舞台にすることの多い作家さんだけれど、物語の肌触りにとても通じ合うものを感じる。
まだ恋を恋と自覚する前の、触れたさと触れがたさの間でやききれそうなくるおしい情に、よき時代のやおいのかおりをかぎとった。ただ、たいせつでたいせつで、何とも名づけようのない関係。くぅ、たまらんな!
破天荒なヤクザ者に振り回される良識人二本立て。
幼馴染みものの「金銀砂子」はなんと、坊主受けだった。ありがたやありがたや〜。生き生きとした下町の描写が幼馴染みたちの不器用な恋に彩を添える、楽しいお話だった。