パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

月を喰らう者

月を喰らう者 (アクア文庫)

月を喰らう者 (アクア文庫)

月夜野亮強化週間開催中。
教師と生徒の学園ラブストーリーかと思いきや、伝奇ファンタジーだった。
月夜野さんの描くファンタジーはとても独特で、「日本書紀」とか「古事記」のような土着の匂いがする。RPG的な一神教の世界とは一線を画す、この国特有のアニミズムや言霊信仰が練りこまれているように思う。
対立するかに思えた「陰」と「陽」が、じつはひとつの形の裏表でしかない。
子どものころ「古事記」を読んで、女性の名を尋ねることが求婚を意味すると知り、なんてロマンチックなんだ!と身悶えた私にはたまらない世界観。