パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

美少年 オールカラー版

モノクロ版を持っていなかったので喜んで買ったのだけど、これはモノクロの方がよかったかな…。
もともと1色で描かれた原稿に、コンピュータで彩色をほどこしているらしい。本文ページの彩色は小野塚カホリの手によるものではないので、表紙のイラストとはまったく異なるゲーム画面みたいなのっぺりした印象を受ける。色がつくことで肉感が高まってポルノとしての価値は上がっているが、その分小野塚カホリ特有の「艶」が薄まってしまった気がする。彼女の描く繊細で隠微なモノクロームの世界を愛好する者としては、とても残念。
ずばりそのものを描くことで生まれるエロスもあるが、小野塚カホリのエロスは絡みつくようなベタ塗りや、たちこめる空白の奥にこそにじみ出ていると思う。そういった行間の表現が、カラーにしたことで死んでしまったように感じた。
あと、これは職業病かもしれないが、吹き出し内の文字はスミ1色にして欲しかった。版ズレして目がチカチカする!