パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

恋愛小説は書けない

恋愛小説は書けない (白泉社花丸文庫)

恋愛小説は書けない (白泉社花丸文庫)

表紙にひとめぼれして購入。
にやけた受けの傍らに「でへへ」って描き文字が見える。こんなだらしない顔した受けも、こんなコワモテな攻めもそうお目にかかれるもんじゃない。
人気ミステリー作家の神野は、泣く子も黙るコワモテ担当編集の甲斐くんに絶賛片想い中。まじりっけなしの純粋な片想い…のはずなのに、筋金入りのゲイであり、常軌を逸した変人でもある神野の行動がとにかくおかしいために、純愛はおかしな方向へ。
ゲイの神野に愛を告げられて、貞操の危機を感じる甲斐。厳戒体勢の甲斐に、神野は自分の恋心が性欲を超越したものであることを証明しようと考える。その証明とは、薬物で眠らせた甲斐くんと素っ裸で同衾し、過ちを起こさず一晩過ごしてみせるというもの。性欲より薬物のほうが危険だろう!素っ裸で同衾されるだけでもじゅうぶんあやしいわ!なんてツッコミは、神野には届かない。甲斐くんも読者も、神野の奇行に顎が落ちっぱなし。
それでも、恋に落ちてしまえばあばたもえくぼ。ぶっ飛んだ言動の数々がだんだんと健気で可愛くみえてくるんだから、愛は偉大である。