パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

おとなり

おとなり (ディアプラス文庫)

おとなり (ディアプラス文庫)

「もうひとつのドア」「そして恋がはじまる」といったセンシティブな作品に定評のある月村さんですが、彼女のコメディも大好きです。
真面目朴念仁×天然能天気のほのぼの弟カップルと、俺様×神経質の犬猿な兄カップル。二本立てでどちらもおもしろかった〜。
個人的には、聡の倍は強力な被害妄想を装備している多紀と、波多野さんを10倍傍若無人にした力の丁々発止の痴話喧嘩がツボでした。力に嫌われているという多紀の思い込みは、蓋を開けてみればすごーくくだらない勘違いなのだけど、多紀の卑屈さを知りながらあえて誤解を解くこともせず、好きな子イジメを満喫している力の性格の悪さも筋金入りだ!
ふたりともたいがいな性格をしているが、ひねくれ者なりに一本筋が通っていておもしろく読んだ。