パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

退引町1丁目15番地

「退引町お騒がせ界隈」として文庫化済み。
肩の力の抜けたご近所物語ながら、はしばしに鋭い人間描写が光る短編集。もうすぐ「お兄ちゃん」になる少年の心の揺れを丁寧に描いた、「退引町番外地」がとてもよかった。
いつも気の強いお母さんが、泣くこともあること。
いつもぼんやりなお父さんが、怒ることもあること。
知らなかったことを知って、少年は昨日より少し大人になる。心温まる遠藤流「魔法の料理」でした。