パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

草の上 星の下 / ホームメイド 2

草の上星の下 (クイーンズコミックス)

草の上星の下 (クイーンズコミックス)

ホームメイド 2 (りぼんマスコットコミックス クッキー)

ホームメイド 2 (りぼんマスコットコミックス クッキー)

よしながふみフラワーオブライフ」に「友情にも片思いってあるんだね…」という名台詞があったが、谷川さんの漫画を読んでいるとこの台詞を思い出す。
片想いって恋愛に限ったことじゃなく、あらゆる好意に片想いってあるよね。
自分だけが必死に思えて不安になったり、「嫌い」ってわけじゃなくても好意を鬱陶しく感じてしまったり。純粋に、ただまっすぐに好きでいられたらどんなにいいだろう。
好きだから不安になる、好きなのに憎らしい。そんなうらはらな気持ちを、谷川さんの漫画は優しくあたたかく包んでくれる。
美人で優しいお姉ちゃん。無口でぶあいそうだけど気になる先生。男手ひとつで育ててくれたちょっと偏屈な父。クールでミステリアスな小鳥みたいなともだち。
大好きで憧れて、でもうまく伝えられなくて。すれ違って、傷つけて傷ついて。
そんな胸の痛みすら愛した証なのだとすれば、癒えないままずっと抱きしめていたいと願ってしまう。触れればまだ痛い、静かで烈しい想いの欠片。
谷川さんちの娘さんたちは、その痛みの欠片を抱きしめて再会へと歩き出す。つらいなら泣いて、おなかがすけば食べて、あたらしい朝を迎える。
このまっとうさ、すこやかさにすごく励まされた。
好きなら好きでいていいんだよって、いってくれたような気がした。