パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

青空へ飛べ

青空へ飛べ (ディアプラス文庫)

青空へ飛べ (ディアプラス文庫)

まったく小説を読んでいない…。
リハビリをかねて、積み本から久我有加の野球BLを選び出す。久我さんの描くキャラクターはみんな根っこの部分がさっぱりしていて読んでいて気持ちいい。恋愛以外の仕事の描写も丁寧で、とりあえずなにかさくっと読めるものを、というとき重宝する作家さん。
今度の本は元高校球児の再会愛。
二人の関係を、キャッチボールに絡めて描いたシーンにぐっときた。
キャッチボールって、心の距離が近づくほど二人の距離は離れていくんだよね。相手が絶対受けとめてくれると信じることができてはじめて、声の届かない距離からでも投げることができる。
表舞台の華やかさとは無縁な挫折と再起の物語だったけど、個人的にはむしろこの地味な泥臭さこそが王道。同じ志を胸に抱き苦楽をともにした者の間に生まれる絆って、あまいばかりの恋人同士には及びもつかない強い繋がりがある気がする。