パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ダーティ・ダンス

ダーティ・ダンス (ビーボーイノベルズ)

ダーティ・ダンス (ビーボーイノベルズ)

いやあ、下克上ってほんっとーに、いいものですね!!

十年前、組を裏切って逃げた鼎のことが忘れられない深弦。
病床に伏した父の跡を継ぎ組長となった深弦の前に、敵対する組の組長として再び姿をあらわした鼎は、かつての面影も無い不遜で傲慢な男になっていた。
この不遜で傲慢で年上の男が、同じくプライドの高い深弦を快楽で支配しようとするのだけど、どんなときも鼎が「敬語」っていうところがすばらしい。攻めの敬語って萌えるね…。行為の主導権を握っているのは鼎なのだけど、組み敷かれようが翻弄されようがけしていいなりにはならない深弦の芯の強さに、むしろ鼎のほうが囚われている。
組織を束ねるものとしての矜持と、それでも相手を手放せない濃い情念が拮抗する、英田さんらしいハードボイルドなお話で大満足。