パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

やんごとなき執事の条件

やんごとなき執事の条件 (キャラ文庫)

やんごとなき執事の条件 (キャラ文庫)

英国執事×茶道宗家出身の造園家
執事や茶道といった題材はどうしてもスタイルやファッションをなぞっただけのものになりがちだけど、そこは必殺仕事人・鳩村さん。見た目の優雅さだけではない、道を究めることの美がしっかり盛り込まれている。作者自身も茶道を長く習っているだけあり、茶道に関するうんちくの深さには心の「へえ」ボタンを連打せざるをえない。
それぞれの矜持を抱えて働く男たちが、ぶつかりあっては歩み寄り、ひとつのものを作り上げていく…という「お仕事もの」としてはほぼ完成されている。ただそのせいか、ラブがちょっとかすんでしまったような。
はじめてベッドをともにしたあとのピロー・トークまでもが、商談後のクロージング・トークそっくりで思わず吹き出してしまった。
プレゼン後のクロージングにおいて重要なのは、①クライアントの意志をクライアントの言葉で確認すること、②次回の面談へつながるアポイントメントをとること、だそうなのだが、二人は見事に①も②もクリアして次回訪問への足がかりを得ていた。
さすがは一流ビジネスマン!……だけど、ピロー・トークくらいもうすこしあまいムードでもいいんじゃあ?笑