パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

堕天使の島

堕天使の島 (角川文庫)

堕天使の島 (角川文庫)

耽美な表紙絵から、ロン毛タラシ×金髪×短髪硬派の三角関係かな〜なんて淡い希望を胸に手に取ったのだけども、あまかった!!
この門をくぐる者、一切のBL的望みを捨てよ。
この本は男同士のあまいロマンス小説なんかじゃなかった。
「矯正不能」の判定を受け、絶海の孤島に閉じ込められた凶悪少年犯たちの性と血の饗宴。狩る者と狩られる者、二種類の人間が繰り広げる戦場だ。
これまでに読んだ山藍作品のなかでもかなりハードボイルドよりの作品で、荒廃した更正施設で繰り広げられる陵辱と暴力の嵐に何度か膝を屈しそうになった。ただどんな逆境に晒されようと、最終的には本人たちが楽しんでしまっているので、暗い気持ちになることはなく読了。
山藍さんの描く人間って基本的にうたれ強くて、ものすごく生命力が強い。タナトスとエロスがせめぎ合ったすえに、必ずエロスが打ち勝つ。どんなに残酷で陰惨な物語を描こうと、最後には生と性への肯定がある気がする。