パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

死にたい騎士の不運

死にたい騎士の不運(アンラッキー) (ウィングス文庫)

死にたい騎士の不運(アンラッキー) (ウィングス文庫)

死にたい騎士と屈折系少年魔術師の組み合わせに惹かれて、普段は読まないライト・ファンタジーを手にとってみた。
崇拝し敬愛していた主君を失い死を求める騎士・グランツ。彼の一心の願いを「あなたがそれほど死にたいなら、俺はあなたを生かすよ」と笑顔で退ける魔術師・シン。
ドMとドSの黄泉への珍道中…とみせかけて、そのじつ孤独な魂の解放の物語。
ひたすらにひたむきに主への忠誠を捧げるグランツに、やがて心を動かされたシンは、「俺が心から大事だと思える人をみつけられたら、殺してあげる」と約束する。
一方で、重い運命を引き受けるがゆえに孤独なシンの心を知ったグランツも、「君に心から愛する人がみつかるまで、そばにいる」と誓う。
こんな尋常じゃないことを誓い合っている時点で、お互いがお互いにとって特別な存在であることは間違いないと思うのですが、鈍感な男たちはいまいち自覚していません。この物騒な約束が、二人にいったいどんな結末を呼び寄せることになるのか。続編が楽しみ。