パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

少年ノート 1

少年ノート(1) (モーニング KC)

少年ノート(1) (モーニング KC)

天使の歌声“ボーイ・ソプラノ”を持つ少年・蒼井由多香。
素晴らしい音楽を聴くと涙がとまらなくなるという、たぐい稀な音への感受性。まるで息をするような自然さで音と遊ぶ、無垢なまでの情熱。歌うことにまっすぐな由多香に触発され、仲間たちもそれぞれに、「自分の歌」を歌いはじめる。
1巻はまだほんの序章の手触り。
裏表紙のあらすじに添えられた「失われゆく日々のハーモニー」という言葉に、ぐっと心掴まれて手に取った。
ゆたかの「ボーイソプラノ」そのものが、いつか終わる少年期に捧げられたギフト。あらゆるものには必ず終わりがくるということになるべく気づかないようにひとは生きているけれど、終わりを覚悟してはじめて、魂は真の輝きを放つことができる。全力になれる。
どんなに残酷な希望の物語が待っているんだろうかと、ぞくぞくする。