パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ファンタジウム 7

ファンタジウム(7) (モーニング KC)

ファンタジウム(7) (モーニング KC)

芸能界に違和感を感じていた良は、ついに生放送をボイコットしてしまう。
難読症の良にとって、マジックはひととつながりあうための唯一の手段。誰かの心に触れるような、自分だけのマジックができるようになりたい――。自分を鍛えるために、ほんとうに必要なことはなんなのか。手探りで良は自分のゆくべき道を探し始める。
良くんは12歳の若さで、孤独やさみしさと真正面から向き合っている。
「ひとり」であることから逃げようとしない。
ひとりはさみしい。ひとりは怖い。だれもが孤独に怯えている。でも、ひとりだからこそ、どこへだって行けるし、だれかとつながりあいたいと思えるのだと。
いつだって絶望と希望は隣りあわせで、光と影は同じひとつのものの表裏だ。その明るいほうだけを選ぶのではなく、きちんとぜんぶを見据えようとするから、良くんの瞳はあれほど深く澄んでいるのだろう。心の奥まで見透かしてしまいそうな、すべてを受け容れる殉教者のような、つよいまなざしが胸に刺さる。