パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

えへん、龍之介。

えへん、龍之介。 (KCデラックス BE LOVE)

えへん、龍之介。 (KCデラックス BE LOVE)

僕たちはただ 百年生きる言葉を探しているのだ
そのために今 生きているのだ

偏屈でハンサムな大正の文豪・芥川龍之介の素顔を描いた作品。
子どものように無邪気に文学を愛し、狂気じみた執念で書くことに拘り続けた理想主義者であると同時に、女の罠にコロリとはまってしまう間抜けな男。
うつくしければ小説に「筋」など必要ないとまでいいきった危うい純粋志向に導かれ、ただ前へと突き進んだ芥川。最後に彼がたどりついた虚空にはいいようのない孤独だけがぽっかりと浮かんでいて、ぞくりとした。
読めばきっと、なんて愛すべき男なんだ、芥川って!と身悶えてしまうこと間違いなし。