パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

妓楼の戀水

妓楼の戀水 (SHYノベルス)

妓楼の戀水 (SHYノベルス)

エッジの効いた現代ものもいいけれど、みやびやかな和もまたいい。
これまで読んだ遊郭もののなかでも、かなり好きかも。廓で生まれ育った身寄りのない少年と一番手花魁の客である御曹司の身分違いの恋、というじつにスタンダードな設定だが、艶と陰をはらんだ文章があまくせつない物語の雰囲気にぴったり。
表題にある「恋水」とは、愛しい人を想って流す涙のことなのだそう。うつくしい日本語ですな。ほれぼれしてしまう。