パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

三月某日、クマを拾った

こここ、こわいーー!!
ヘンゲンさんって、いったいなんだったの!?陰を孕んだ精緻な絵柄のおかげで、こういうホラーっぽい雰囲気のものを描かれると妙に真に迫ったものがある。このなまなましい昏さが高緒さんの持ち味だけど、夢に出てきそうだよ〜(泣)
個性派揃いのたまよし美術研究所の専属寮・福寿館で起こる数奇な出来事。
美貌の研究所講師・川瀬久也がある日拾ってきた、謎のクマ男。とり憑かれたように顔の見えない人影“ヘンゲンさん”描き続けるルームメイト。消せない過去や、癒えない傷。ひとの心の暗い場所に、静かに下りてゆく連作集。
ハルとナツの恋の行方も狂言回しである川瀬の意味深な過去も、これ一冊では明らかにならなかったので続編に期待。