パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

眠る兎

眠る兎 (幻冬舎ルチル文庫)

眠る兎 (幻冬舎ルチル文庫)

新装版。旧版既読。挿絵は旧版のがイメージにあってたなあ。
読み返してもやはり、浩一が高橋のチョーク入れをなぎ払うところで「わぁ、木原クオリティ!」と思う。この迸る激情!なんてバイオレンス!
ほかの作家さんなら言い争わせるだけで、なぎ払うまではさせないんじゃないだろうか。
だれかをつよく想うという限りにおいては、恋も執着も憎しみもすべて同じとでもいうようなこの烈しさ。「正しさ」なんて欠片もないくらい野蛮なのに、胸に痛いほど純愛なのがすごい。
新装版には浩一の親友・柿本のスピンオフ短編を収録。これがまたいいところで終わっていてだな…!つづきが読みたいよ。