パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

お侍、拾いました。

お侍、拾いました。 (ショコラ文庫)

お侍、拾いました。 (ショコラ文庫)

「お侍は拾わねぇだろ!!」と全力で突っ込んで、レジへ。
作家や編集者がおもしろがってつくったのが伝わる本って、ついつい買ってしまう。悪ノリの片棒担ぎたくなるというか。
男性向けの王道が、空から美少女が降ってくる「落ちもの」なら、女性向けの王道はひょんなことから美青年を匿うことになる「拾いもの」。そういう意味では王道な設定だが、ふつう拾うのはワケアリの美青年か、捨て猫みたいな美少年であって、筋骨隆々な武士じゃ断じてない!
母の実家のある山奥で、江戸時代からタイムスリップしてきた侍・源之助を見つけた大学生の蒼生。礼儀正しく温かい源之助の人柄に好感をもった蒼生は、源之助がもとの世界に戻れるまで面倒を見ることにする。想像をはるかに超えた文明の進歩に目を白黒させながらも、おっかなびっくり現代の暮らしを楽しむ源之助をほほえましく見守るうち、蒼生の胸のうちには源之助と離れたくない、という気持ちが芽生えはじめる。
コメディあり、ミステリーあり、すれちがう恋心ありの盛りだくさんな内容だった。マヨネーズにご執心な源之助がかわいかったので、もっとコメディパートを読みたかったなあ。
蒼生の友人たち、健文と隼人の仲がどうなったのかが気にかかる。(またしても脇役好き…)