パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

アリル 〜午後のお茶は妖精の国で 番外編〜

「午後のお茶は妖精の国で」番外編をはじめとしたSF・ファンタジー短編集。
いじわる妖精のヴィネドのまだ純粋だった子ども時代と、守銭奴商人・ハルシュの忘れられない友だち。この幼い日の思い出が、彼らを本編の物語へと導いたんだろう。アリルを失ったヴィネドはアリルを殺した「妖精らしさ」を捨てることを選び、ハルシュは目に見えない「情け」なんかより自分の力で手に入れられる「金」にこだわりつづけた。切ないのに、ふしぎとあたたかな余韻が残る話だった。
それにしても、番外編を謳いながら新シリーズである「プラネット」の一話目を収録されてるってのは、いささか不親切だと思うんだよなあ。スピンオフならともかく、あちこちにわけて収録されていると後で追いかけづらい。