パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

くちびるの封印

くちびるの封印 (幻冬舎ルチル文庫)

くちびるの封印 (幻冬舎ルチル文庫)

デビューノベルスの新装版。
しばらくBL小説を読んでいなかったら、無性に切ない恋物語が読みたくなって買ってきた。
母親に去られ、息子に無関心な父親とふたりきりで暮らす孤独な高校生が、通勤電車で出会ったエリートサラリーマンと禁断の恋におちる。いわゆる、こてこてメロドラマなんだけど…そうなの!私はいまこういうめちゃくちゃ切ないやつが読みたかったんだよ!
今年頭のノベルスの発売延期以来、うえださんの新作が届かず少し気にかかっている。小説ディアプラスの最新号の掲載予告からも名前が消えてしまっていたし…。
うえだ真由はとても誠実に作品を描かれる作家だ。しっかり取材したうえで書かれたことがうかがえる仕事の描写や繊細な心理描写が盛り込まれた作品はどれも、地に足をつけて生きる市井の人の悩みや喜びを丁寧に切り取ったものばかり。
うえださんの優しくあたたかな作風が私は大好き。いつまでも新作を待っています。