パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

銀のスプーン 3

銀のスプーン(3) (KCデラックス Kiss)

銀のスプーン(3) (KCデラックス Kiss)

大学生編スタート。
母の入院、律の出生の秘密とシリアスだった2巻から一転、個性ゆたかな友人や先輩たちがつぎつぎに登場して、にぎやかな新生活が幕を開ける。
大学生になった律が仲良くなったのは、偏屈な貧乏学生・斎木。この斎木が最高にいいキャラしてます!Gジャン&Gパンに下駄という時代錯誤なバンカラファッションで「リア充」の律への敵意をむき出しにする自意識過剰なオタク男。ふつうイケメンはイケメン同士で群れるものなのに、律は自分の「ランク」なんかにはまったく無頓着。斎木とともにシネ研に入った律は、変人揃いの部員たちと親交を深めていく。
着々とオタクへの道を踏み出している律。少女マンガ的に大丈夫?と心配だが、私はとても楽しい。
あたらしい出会いはときに、戸惑いや波乱をもたらすもの。調や奏でもまた、あたらしい出会いや環境の変化のなかで揺れている。誠実であたたかな彼の人柄そのものの手料理で、律は人と人とをつないでゆく。
律の料理の腕前は、魚を三枚おろしにできるまでに。これはもはや趣味の範疇を超えているんじゃ…モコズキッチンならぬ、リツズキッチンを名乗れるレベル。
3巻では、律の隠れた弱点も明らかに。完全無欠の王子様にも人並みに苦手なものがあったのか。でも、欠点すら「そんなところもかわいい♪」と思わせてしまうのが、さすが王子様。