パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

君と奏でる不協和音

君と奏でる不協和音 (ニチブンコミックス KAREN COMICS)

君と奏でる不協和音 (ニチブンコミックス KAREN COMICS)

ミューズ学院シリーズスピンオフ。
天才に嫉妬しながら恋焦がれる秀才というモチーフは、永遠の萌えツボのひとつ。
天才ヴァイオリニストの琴乃典と真面目なピアノ奏者の斎は、ともに育った兄弟のような幼なじみ。じつは斎には、琴の身代わりとして琴の叔父である弓弦に抱かれているという秘密があった。亡くなった両親の代わりに帰る場所を与えてくれた家族を守るため関係を続ける斎だが、琴にだけは知られまいとするあまり、思わぬ誤解を招いてしまう。
才能への嫉妬、大切な家族、自分とは正反対な相手への劣等感、それでもあふれるいとおしいという想い。いろんな気持ちが絡まってぐちゃぐちゃになってる斎がかわいそうでかわいい。
最後には琴とうまくいってくれるといいなあ、と思うのだけど、弓弦は相当手ごわそう。斎がいちばん後ろめたく思っている「琴が好き」という気持ちを人質にして、斎自らいいなりになるように仕向けてしまうところなんて、したたかだな〜腹黒だな〜と。
そして弓弦自身も、傷つく斎を通して別の何かを見ているようなところがある。
こんがらがった矢印がどうほどけていくのか、続刊に期待。