パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

エデン

エデン     (バンブーコミックス 麗人セレクション)

エデン     (バンブーコミックス 麗人セレクション)

格差社会が進行し、テロやデモが氾濫した近未来の日本という設定は異端ながらも、この国の現状を鑑みればけっしてありえない話とはいえない…。
国家VSテロリストの構図を掘り下げて、システムへの問題提起へとつなげていくのかな、と思っていたけど、そこまで壮大な話にはならなかったですね。BLでそこまで描くとなると本筋(恋愛)とのバランスが難しいし、ボリューム的にも厳しそう。
どんな結末が待っているのか楽しみにしていたぶん、あっけなく個が淘汰されていくばかりの結末は淋しかった。こんなにユニークで同時代性に溢れたテーマで、宮本さんの世界観にもぴったりだっただけに、手加減なしで突き詰めたものを描いてほしかった…と思ってしまった。読者は欲ばりである。