パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

夢見る頃をすぎても

子どもでも大人でもない曖昧な時間を生きる高校生たちの、憧れや嫉妬や恋や友情。
吉田秋生はこの微妙なモラトリアムの季節を、おセンチに浸ることなく小気味よく切り取ってみせる。
「自分が何ものかわからない」ということへの不安や焦燥も、通り過ぎたものから見れば、ただまぶしくうつくしいものでしかないけれど、渦中にいるものにとっては、とるにたらぬ懊悩もひどく切実だったことをなつかしく思い出した。