パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

レベルE 1-3

レベルE (Vol.1) (ジャンプ・コミックス)

レベルE (Vol.1) (ジャンプ・コミックス)

レベルE (Vol.2) (ジャンプ・コミックス)

レベルE (Vol.2) (ジャンプ・コミックス)

レベルE (vol.3) (ジャンプ・コミックス)

レベルE (vol.3) (ジャンプ・コミックス)

いまさらながら読みまして…すっごいおもしろい!
H×Hにつながる要素はこの時点でほぼ出揃っている。異なるのは、掘り下げの深さ。「レベルE」が浅いというわけではけっしてない。エンタテイメントとしてはこの時点で過不足なく完成されている。
ここではあくまでネタとして昇華させた、富樫義博ならではのナンセンスや毒や不条理といったものを、とことんシリアスに掘り下げていったのがH×H、とくに蟻編だと思う。
レベルE」でも文句なく面白いのに、そのさらに先があるとは。どんなに待たされても、やっぱり待つだけの価値がある。
彼の漫画にはひとつ揺ぎ無い信念がある。それは、世の中の正義や善悪に頼るのではなく、自分のことは自分で決着をつけろということ。
飛影が雪菜にきかせた言葉も、ゴンがクラピカの復讐に手を貸さなかったのも、清水が人魚に銃を渡したことも。紳士淑女の道徳など霞んでしまう、残酷なほどに高潔な意思。この峻烈な意思に触れるたび、自分はただ流されて何か見失ってないか?と、立ちどまってかえりみる。