パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ザクザクザク

ザクザクザク (二見シャレード文庫)

ザクザクザク (二見シャレード文庫)

なんと斬新なタイトルと思って手に取ったら、「あ、こういうことか!」と膝をうつダブルネーミングだった。
しっかりものの姉とちゃっかりものの妹に挟まれて、立派なオトメンに育った主人公。
休日の手芸タイムを生き甲斐に地味に目立たず働いてきたが、ひょんなことからひそかに想いを寄せるイケメン同期に自作のマスコットを見られてしまう。少女趣味がバレることを恐れてとっさに姉の手作りだと嘘をつくのだが、興味津々で作ってほしいとお願いされると断りきれなくて・・・。
好きだけど好きといえない、人魚姫状態の主人公がいじらしくてきゅんきゅんした。地味だけど地に足がついた設定ゆえに、いちばん安心して読めるすれ違いもの。姉ちゃんと妹がほどよく弟想い兄想いで、兄弟愛にも癒される。
趣味が合う恋人ってやっぱり素敵だ。黙ってそれぞれの趣味に没頭して、一息ついたところでコーヒーを淹れて進捗を語り合うなんて、理想の休日だなあ。