パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ただいま定修中!〜許可証をください! 4〜

ただいま定修中!<許可証をください!4> (シャレード文庫)

ただいま定修中!<許可証をください!4> (シャレード文庫)

「許可証」シリーズ第4弾。
再読して発見した許可証シリーズの魅力、その3。個性豊かな脇役たち。
担当編集氏が「オヤジ名鑑がつくれますね!」という言葉を贈ったというエピソードがあるほど、このシリーズは登場人物が多い。
弘の後輩ある江夏、前原組の滝田や菊川、営業部の矢野や徳永に、弘と前原の両親、そして片手じゃ足りない人数の個性豊かな工場のオヤジたち。
これほどたくさんの脇役がいて、しっかりキャラクターがたっている。しかも、セリフさえ読めばたちどころに誰が喋っているかわかる。登場人物の多い少年漫画では、シルエットだけでそのキャラクターが誰なのかがわからなきゃだめだというけれど、「許可証」も語尾や口調だけでそれがだれなのかがわかる工夫がなされている。
私みたいに地の文をとばしがちな読者でも「ん?この台詞はだれの台詞…?」なんて混乱することがないし、しゃべり方自体に人格が表れているおかげでとても感情移入しやすい。
なるほどテンポよく読めるはずだと、あらためて烏城あきらの卓越した小説力に感じ入ったのでした。