ナカさんのながれ

ナカさんのながれ (EDGE COMIX)

40代のラーメン店主と客の三十路前リーマンのせちがらい恋模様を淡々と活写する。
もはやオヤジなんてジャンルを超越してしまった枯れっぷり。濡れ場すら砂のようにさらりと乾いていて、「官能」よりも「侘びさび」という言葉がふさわしい。
恋人同士の話題が「健康」に終始してしまうところにリアルな加齢を感じた…。歳をとるほどに健康トークに花が咲くって、よしながふみも対談で語ってましたね。
高血圧をおそれて、日々青汁をたしなんでいるナカさん。大好物のラーメンを我慢してまで身体を気遣いはじめたのは、年下の恋人と少しでもながくラーメンツアーを楽しむため。冴えないナカさんの滑稽な努力がじつは真摯な愛ゆえと知り、ばかだなあと笑いながらも喉奥がぎゅっとした。
生きていくのは楽じゃないし、みっともないことばっかり。でもそのみっともなさこそが、味になってゆくのだろう。