パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

セーフティ・ゲーム

セーフティ・ゲーム (ディアプラス文庫)

セーフティ・ゲーム (ディアプラス文庫)

再読。
初読時にはお互いにゲイだと知っていながら、受けに女装を強いてまでストレートのふりをしようとする攻めの突拍子もなさにどうにもついていけず、しっくりこなかった。
読み返してみてもやはり、あんな隙だらけ(かつらがずれるわ、スカートめくれるわ)の女装男子を連れて堂々と屋外でデートまでしてしまう攻めの臆面もなさはありえないと思うけど、このお話の肝は、攻めと受けがそろって「卑怯者」というところだったんだな…ということに気づいた。
もともとこのお話は、小説ディアプラスの「ろくでなし」特集号に掲載されたもの。
私はてっきり、この本の「ろくでなし」はノンケを装い受けを篭絡しようとする攻めのことだと思っていたのだけど、恋愛に不誠実なのは攻めばかりではない。受けも攻めも臆病で、自分がつくった安全圏からなかなか踏み出せずにお互いを試すようなことばかりしてしまう。
でも、相手の前にありのままの自分をさらさないことには、恋は始まらない。(あ、もしかしたら、さらけだすことの対の概念として「装う」という設定があったのかな?)
地球最後の日にでもならない限り、恋を打ち明けるなんてできないと思っていたふたりには、これぐらい非日常な「事件」が必要だったのかもしれない。……なんてもっともらしいこといっても、やっぱりヘンな設定だと思うけど!笑