パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

願いごとはひだまりで

願いごとはひだまりで (バーズコミックス リンクスコレクション)

願いごとはひだまりで (バーズコミックス リンクスコレクション)

ついに出ました!ボーイでもメンズでもない。オーバーフィフティのシルバーラブ。
半世紀来の幼なじみに突然プロポーズされる表題作や、頑固じじぃが老け専青年になつかれる「野良犬のジンクス」もおっさんたちが年甲斐もなくキラキラした恋愛をしていてよかったが、個人的には年金暮らしの男夫婦の「こころ晴れたらもういちど」が好き。
幕引きを意識する歳になり、あらためて自分たちの人生が幸せなものだったのか、心残りがないかを問い直す。
たとえもう取り返しがつかないこととわかっていても、少しでも悔いなく終わりを迎えたいと思うのは、たったいちどきりしか生きられない人間にとって当然の感情だろう。いいことも悪いことも、ふたりで分け合ってきただろうと、穏やかに語り合うふたりに長年連れ添った者同士の深い絆を感じた。
年金や介護の問題に頭を抱えたり、ゲートボールで独居の淋しさを紛らわしたり、言葉はなくても将棋盤を囲めばわかりあえるような侘びさびに満ちたシルバーBLを、引き続きお待ちしております。