パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

かごめのきみ

かごめのきみ (EDGE COMIX)

かごめのきみ (EDGE COMIX)

ショタ同人界で長年のキャリアを誇る森雅子さんの初単行本。
連載前に掲載された読み切りが印象的だったので、こちらも心待ちにしていた。
うらぶれた屋敷に監禁された美貌の青年と、彼に翻弄される純朴な書生との大正ラブロマン。
いまどきのボーイズラブ作品とは一線を画す、どろっと濃密な世界観がたまりません。昔の少女マンガみたいに柔らかくきらびやかで、そこはかとなく官能的。オタク文化の隆盛とともに森さんのような肉感的な絵を描く人って少なくなった気がするので、逆に新鮮に感じる。
これ、主人公を素朴な年下攻め青年にして正解だったと思う。
肉親から姉の婚約者まで魅了してしまう魔性の美少年なんて…もはやBLじゃなくて、まんま耽美の世界だ。商業向けにだいぶバランスがとられて読みやすくなっていた。
しかし、過去編ではすかさずショタも盛り込まれていたりと、たくみに己のフェティシズムを織り交ぜてくる作者の心意気に脱帽。
新連載もスタートとのことで楽しみです。