パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

初恋ドレッサージュ

初恋ドレッサージュ (ディアプラス文庫)

初恋ドレッサージュ (ディアプラス文庫)

BL界で「馬」に一家言ある作家さんといえば、いつき朔夜と高尾理一。
先日読んだ高尾さんの「意地悪なカウボーイ」がウエスタンなら、こちらはまさにロイヤル。
いつきさんのデビュー作である「G1トライアングル」は、競馬小説としてもとても読みごたえのある本でしたが、今度の舞台は、ところかわって大学の馬術部。馬が大好きな田舎者の新入部員が、ひねくれものの王子様に支えられ「馬場馬術」に挑む。
オリンピック種目でもあるとはいえ、馬場馬術なんて日本人にはなじみのない競技。そこはさすが、パチンコの釘師や防災施設の整備員、博物館学芸員といった、「裏方」の世界の仕事の醍醐味を描く名人であるいつきさん。
個性豊かな馬たち(馬にもちゃんと個性があるのです!)とのふれあいを通じて、馬場馬術の魅力を初心者にもわかりやすく伝えてくれる。
読後感もさわやかな青春小説。