パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

同人誌1冊

夏季休暇中に積み上げていた同人誌をいくらか整理したので、未読分を読んでいくお仕事。今年中には引っ越さなくてはならないので、本腰入れて積み本減らさなきゃ。

麻生玲子「私的情事」

かつてコバルトから出ていた麻生さんの青春BLが大好きで、著作を漁っていたころ買ったなかの一冊。しかーし、この薄い本、コバルトとはうってかわってアダルトな内容。
もともとは男女ものとして用意した不倫込みのオフィスラブだけに、じつに昼ドラチック。
ゲイだけど経験のないサラリーマンが、妻子持ち(不義の恋のお約束として、じつは離婚寸だった…という免罪符あり。)の上司に口説かれてはじめて知る快楽に溺れていくという、いってしまえば女性向けの官能小説。
恋愛より欲望がメインのお話なので、こうなればあとは好みの問題ですね。
個人的には「淫らな体だ…こんな体を、スーツの下に隠していたのか」なんて囁いてみせる上司の絵に描いたようなセクハラオヤジっぷりに萌えられなかったのだけど、昔こっそり読んだ赤川次郎の大人向けの作品の濡れ場なんかはまさしくこれと同じ世界観だったなあ。恋のきらめきとは無縁な、背徳感とけだるさ。幼い頃は大人の世界をこっそり垣間見るようでドキドキしたものなのに…時の流れって残酷だ。自分こそすっかり汚れた大人である。
あの本を読んで初めて「情事」という言葉を知ったんだっけ…と、エロ本を読んでいるはずが、妙にノスタルジックな気持ちに浸ってしまったのだった。