パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

Fuckin' your closet!!

Fuckin' your closet!! (幻冬舎ルチル文庫)

Fuckin' your closet!! (幻冬舎ルチル文庫)

ノベルス版「シークレットでやっちまえ!」を改題して文庫化。
大好きな砂原さんの本のなかで、唯一ピンとこなかったのがこの本だったりする。
文庫化に際して大幅に手を加えたとのことだったので、期待して読んでみたものの…やっぱり萌えなかった。たはは。
バディものの基本は、片方が変人ならもう片方は常識人、というようなバランスのとれた関係性。
でも、この本のふたりは揃って破天荒なのだ。受けの市居はキャリアであるにもかかわらず、サボりと女の子のことしか頭にない不良警視。攻めの汐見は目的のためなら手段は選ばない悪徳探偵。
砂原さんの書くキャラクターはたとえ脇役でも、悪ぶってみせても根っこにはちゃんと共感できる部分がある、というのがほとんど。このふたりに関してはかなり悪ノリしている。笑
なんだかんだで真面目な人間(とくに仕事に関しては!)が好きな私としては、感情移入のしどころがないまま終わってしまった。
ブコメというには重いしシリアスというにはぶっとびすぎな不思議な本ではあるものの、ミステリーの要素を取り入れたり、初の刑事ものに挑戦したり試行錯誤のあとがくっきり残っている。現在の多様な作風へとつながる、初期の意欲作であることは間違いない。