パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

3月のライオン 8

3月のライオン 8 (ジェッツコミックス)

3月のライオン 8 (ジェッツコミックス)

羽海野チカの圧倒的な物語への信頼に胸が震えた。
ままならぬ現実を知ってなお、せめてこの本のなかでは、すべての小さき者たちを肯定しようとする強い決意が描線からびりびりと伝わってきた。
物語とは嘘でつくられた架空の庭でしかないが、願いのこめられたやさしい嘘はときに読むものの魂を救う。それこそが物語の価値であり、存在意義なのだということをこの漫画は証明しようとしているかのように感じる。