パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

陽だまりにくるまれる

陽だまりにくるまれる (gateauコミックス)

陽だまりにくるまれる (gateauコミックス)

過去の恋を引きずって、従兄弟の伊庭と身体だけの関係を続ける藤木。
そんな藤木の前に、かつて好きだった相手の息子・優が現れる。過去に犯した過ちとつながる優から距離を置こうとする藤木だが、無邪気に自分を慕う優に惹かれてしまう。
重たい恋の話はむしろ好みなはずなのに、なにか物足りない。「かなしい」や「せつない」といいう感情そのもの以上にそこに至るエピソードを深く掘り下げないと、トラウマと救済の物語はおとぎ話になってしまう。BLなんだからファンタジーでかまわないじゃないとも思うけど、心に残る物語には、たとえファンタジーであろうと、どこかに「真実」が織り込まれているものだと思う。