パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

彼と任務とセックスと。

「エロ忍者」シリーズ第2弾。
隻腕の忍者・六郎太とともに抜け忍討伐の命を受けた、熊組の落ちこぼれ・鵙。
六郎太には逆らうなという指令に背かず早々に犯されてしまう鵙だが、自身も足ぬけの首謀者だった六郎太には、死んだ仲間に託された遺品を家族に返すという秘めた目的があった。
男も女も見境ない六郎太が、ずっと憧れていた町蔵に感じていた色恋より強い絆。
閉ざされた村のなかで互いだけを頼りに生きていた兄弟の濃すぎた情。
恋ではなくても、これもまたひとつの愛のかたちにかわりはない。
死を覚悟して大切なものを守ろうとする男たちの姿と、生きている証であるさまざまな液体が飛び散るセックスシーンの対比が印象的。どんな想いも報われることなく散ってゆく中で、生き残ってしまった六郎太には汚されても無垢なままの鵙がきっと救いになるだろう。
いくらでも悲劇的に盛り上げられる内容なのだけど、ウェットになりすぎることなく、さらりと描いているのが逆に彼らの生きる世界の不条理を感じさせた。